母親の死と相続問題と兄について

私には兄が1人居ます。
離縁した母親が逝去した時、兄は喪主を務めていました。
正直、母親が亡くなった時には悲しみは感じませんでした。
粛々と葬儀を母方の親類と進めながら、思い出した様に母親の思い出を語る兄の姿が羨ましいと思った位です。
自分が素直に悲しいと感じれたか、どうかは今でもできていない事です。
相続について、問題が発生したのは母が死んでから数カ月後の事です。
当時、身銭が少なかった自分にとって、法要が連続して発生する時期が漸く過ぎ、一息ついていた頃合いでした。
兄からのメールを見て仰天しました。
母親の遺産が、負債となってやってきたのです。
母の死は病死でしたが、その為か事後処理がスムーズといきませんでした。
母がまだ生きていたくてそれをしたくなかったのか、それともソレをする前に出来る状態にならなかったのかは今でもわかりません。
(思えばそれ位に母親との縁は薄いものでした)ともかく、母親が生前購入した車のローンの残りを、ローン会社が払えと迫ってきたのです。
車は既に母親が知人に権利を移譲しその知人も車を売却した為権利が複雑化していました。
兄は母親の相続放棄を決意し、私にもそれを同意してくれと頼んできました。
その時の電話越しの声がとても悲しく思えたのをよく覚えています。
兄としては負債という形であれ、母親の相続権利を放棄したくなかったのかもしれません。
しかし、兄も仕事と長男として喪主を務めた事で経済状態がよくなく、ローン会社が要求した残金を払うのはとてもつらい状態のようでした。
かと言って私にも迷惑はかけたくないといい、相続放棄を決断したと兄は言いました。
盛況は兄と私の両方に来ていたからです。
結局、裁判所に相続放棄を提出し、兄と私は母親の遺産を放棄する事でローン会社からの要求を退けました。
私は単純に負債を背負わずにホッとしていましたが、兄はとても悲しそうな声で「母さん、すまん」と何度も電話越しに呟いていました。
その声にこそ、なんだか悲しい感じを私は感じました。
故人である母親に対して感じなかった悲しみを、兄の済まなそうな、やりきれない無念そうな声に感じていたのです。
もし、兄が母親と同じ状態で逝去した場合、もし母親と同じような負債が私にやってきた場合、私は兄と同じような、苦渋と悲しみを心に感じるのかどうか、今でも何度か考えてみる事があります。
あの時の兄の苦悩と悲しみを感じれたのであれば、我が身にそれが訪れた時に悲しみとなってやってくるかもしれません。
私は実際にそれが起きた時、心が痛んでくれる事を切に願っています。

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